こんにちは。あいあい整骨院大安寺院です。
少しずつ春を感じる季節となってきましたね!
暑すぎず寒すぎずの今、運動不足を解消するために身体を動かしてみるのはどうでしょうか?
今回は、当院でもプレーされている患者さんが多いテニスのケガ(上肢)について書いていきたいと思います。
テニスをしていてケガに悩んでいる方はもちろんのこと、これからしてみようという方はケガをしないために本記事を読んでいただき、参考にしていただければ幸いです。
目次
肩インピンジメント症候群
どういったシチュエーションでケガをするのか?
サービスやスマッシュ、高いボールを打つと骨頭と肩峰の間に腱板が挟まり痛みが生じます。
症状
肩を上げた時に痛みを感じます。最後まで上げた時よりも、むしろ上げる途中や、ある特定の角度で痛みを感じることが多くみられます。痛みは肩そのものからやや外側に出ることがあり、時に上腕部まで痛みを感じることがあります。夜寝ている時や、仰向けになった時に痛みが強くなることも多々あります。
インピンジメント症候群では腱板付着部で炎症が起こるため腱板断裂と似た症状を感じますが、肩の可動域が制限されることは少なく、動くけど痛い(痛みのせいで動かしづらい、ということはあります)という状況になります。夜間に痛みが強くなるのは、炎症が強い時に特徴的な症状です。
原因
肩の関節近くでは、骨同士の隙間が狭く、こすれが起きやすい構造になっています。年齢や疲労、姿勢の影響で動きの連携がとれずに衝突するようになると、炎症や出血を起こしてインピンジメント症候群の原因となります。
通常であれば、腕を上げる時には周りの筋肉がタイミングよく働き連携するため、うまくこすれずに動くことができますが、筋肉の疲れや不良姿勢などが原因でバランスが崩れると、インピンジメントを起こしやすくなります。
検査法
- Neer’s test
- Empty can test
- Hawkins-kennedy test
治療法
テニスや投球など頭上の動きを伴うスポーツをしている場合、2-4週のスポーツ中止により痛みをコントロールします。肩の動きが制限されているようであれば可動域を広げる訓練を行い、肩甲骨の動きがスムーズになるように機能訓練を実施します。腕と肩甲骨が連動して動くことで、こすれや衝突が起きづらくなります。
治療期間・回数・予防法
- 投球をやめて、肩を休める(軽症の場合、1~2週間のノースローで症状改善することが多い)
- 肩の開き、肘の位置等の投球フォームの矯正
- 投球に負けない肩を作るためのリハビリ「肩甲骨周囲の筋力訓練」「腱板訓練(インナーマッスルエクセサイズ)」
筋力訓練は最低2ヵ月行わないと効果は認められませんので、根気よく行う必要があります。
上記の療法により、ほとんどのインピンジメント症候群は改善します。
テーピング例としては以下になります↓
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
どういったシチュエーションでケガをするのか?
バックハンドを行うことにより前腕伸筋群の負荷がかかります。練習前後のケアが十分にできていなかったり、練習強度が高すぎると使いすぎ(オーバーユース)によって肘外側上顆部の筋肉や腱が炎症、微細損傷を起こし痛みが生じます。
症状
手関節背屈時やラケットのグリップ時の肘から前腕にかけての疼痛や局所の圧痛、熱感を有する場合もあります。日常生活では、回内位で物を持ち上げたりタオルを絞る動作などの伸筋群が緊張する動作に痛みを訴えます。
原因
バックハンドストロークで正確にボールを捉えることのできないときに受ける衝撃を手関節の伸筋、特に短橈側手根伸筋で対抗しようとして、筋の起始部で変性を起こしたり、前腕浅層伸筋群付着部である外側上顆部の微小断裂、骨膜の炎症を発生します。
検査法
- 椅子テスト Chair test
- 手関節伸展テスト Thomsen test
- 中指伸展テスト Middle finger extension test
治療法
保存療法を継続すると、数カ月で症状の改善がみられることが多いです。手の使用を最小限とし、局所の安静のための固定、テニス肘バンドを使用することも有効です。疼痛が軽減すれば、ストレッチング、筋力強化訓練を行い、技術の習得、ラケットの変更等、再発防止に努めます。
治療期間・回数・予防法
変形を伴わない外側上顆炎であれば、治療と日常生活の改善で1~2週間程度で症状が改善してくることが多いです。変形が伴う場合や日常生活の改善が難しい場合は長期に及ぶことがあります。
サポーターを使って肘への負担を軽減します↓
上腕骨内側上顆炎
どういったシチュエーションでケガをするのか?
トップスピンのフォアを多用する選手に多いケガになります。
症状
手関節掌屈時や物を持った状態で肘関節を屈曲した際に肘の内側に鋭い痛みが走ります。
日常生活動作としては、例えば物を握って持ち上げる、タオルや雑巾を手のひら側に絞る、ロープを引っ張る、などの動きで痛みを感じます。
多くは動かしたときに痛みを感じますが、症状が強くなると安静時にも痛みを感じることがあります。
原因
繰り返し手首を曲げたり、指を握ったりする動作を繰り返すことで炎症が起こります。具体的には
- スポーツなどでの繰り返しの刺激
➡ゴルフのスウィングやテニスのフォアハンドなど
- 職業上での繰り返し動作
➡肉体労働で重いものをもって運ぶ、物を引っ張る作業をする など
- 加齢に伴う筋肉の質の低下
➡年齢とともに筋肉の柔軟性が失われ、繰り返しの刺激に弱くなっていくと考えられます
検査法
- 手関節屈曲テスト
治療法
治療の基本はアイシングと安静が第一になります。痛みが軽減してくると
- 手首や指のストレッチ
- スポーツや作業で握るようななるべく避けるようにする
- 肘用のバンド(エルボーバンド)やテーピング
といった治療や指導を行っていきます。
治療期間・回数・予防法
治療としては
- 安静
- ストレッチ
が治療の中心となります。
安静にして痛みのピークが過ぎるとストレッチを中心に行っていきます。特に上腕骨内側上顆炎では前腕部の屈筋群と呼ばれる筋肉が硬く痛めていることが多いので、これらの筋肉をストレッチで柔らかくほぐすと、肘にかかる負担を軽減することができます。
また、患部の状態によっては肘内側に付着する屈筋群に掛かる負担を軽減させるテーピングやサポーターをすることも有効です。
サポーターを使って肘への負担を軽減します↓
尺骨突き上げ症候群
どういったシチュエーションでケガをするのか?
厚いグリップでトップスピンを多用する選手の尺骨が長いと発症しやすいケガになります。
症状
- 手関節尺側(外側)の痛み
- ドアノブや蛇口をひねった時に痛い
- 回内外可動域(腕の捻り動作)制限
- 仕事などで小指側への動きが多い人になりやすい
原因
仕事や生活上で、手首を小指側へ動かすことが多い人に発生します。通常、橈骨と尺骨は、手首において同じくらいの長さですが、生まれつき尺骨の方が長い、または橈骨骨折後の変形により橈骨が短いなどの素因がある方に生じやすいケガです。手首を小指側に動かす動作を繰り返すと、尺骨と手根骨がぶつかり合い、骨の表面を覆う軟骨を痛めたり、関節が炎症を起こし痛みを生じます。
治療法
サポーターや装具で手関節を固定し、患部の安静を図ることが治療において第一になります。
治療期間・回数・予防法
保存療法で3か月以上経過しても改善がない場合や手関節の不安定性が高度な場合は病院へ転医の後、手術を行う場合もあります。
テーピング例としては以下になります↓
TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)
症状
主な症状としては、動作時に手首の小指側に鋭い痛みや不安定感が出現します。特に手首を小指側に曲げたり、その部位を押さえると痛みが出現します。日常生活の動作では包丁を持つような手の構えをしたり、手首を捻ったりする時に症状が出やすいです。
原因
手首の小指側にあるTFCCと呼ばれる靱帯と線維軟骨の複合体が損傷する怪我です。手をついて転倒し、強い捻じれと背屈が強制されて怪我をする事が多いです。テニスだけでなくバッティング、ゴルフスイング、バドミントンといったラケット競技で好発します。
治療法
基本的には保存療法を選択し、手関節装具を用いて関節の安静を確保します。保存療法で症状が緩和しない場合は病院へ転医の後、手術適応となることがあります。
治療期間・回数・予防法
手関節への負担を減らすための手関節装具を使用(固定期間は約6週~12週程度)。
その後の機能訓練としては
- テーピング指導
- 手関節周囲筋のストレッチ・トレーニング
- 肩関節周囲筋のストレッチ・トレーニング
- 胸郭・肩甲帯ストレッチ
- 体幹トレーニング
スポーツ復帰や日常生活動作の安静度は経過をみながら決定していきます。
テーピング例としては以下のようになります。
以上になります。
テニスで生じるケガについて焦点を当て記事を書きましたが、日常生活においても起
こりうるケガになります。
身体のことでお困りのことがありましたらあいあい整骨院へご相談いただければと思
います。