こんにちは。あいあい整骨院です。
今回は肘関節の構造と疾患について紹介していきます。
肘関節について
肘関節の構造は上腕骨、尺骨、橈骨からなる関節で、複関節が全体で1つの関節包に包まれています。

腕尺関節
肘の屈曲、伸展を行います。
上腕骨滑車と尺骨滑車切痕からなる蝶番関節です。
腕橈関節
肘の屈曲と伸展、前腕の回内と回外を行います。
上腕骨小頭と橈骨頭窩の間にある球関節です。
上橈尺関節

橈骨頭の関節環状面の尺骨の橈骨切痕の間にある車軸関節です。
前腕の回内、回外を行います。
靭帯
肘関節には内側側副靭帯、外側側副靭帯、橈骨輪状靭帯の3つがあります。
内側側副靭帯は肘関節の内転方向の動きを抑え、外側側副靭帯は外転方向の動きを抑えます。橈骨輪状靭帯は橈骨頭を輪状にとりまき、橈骨が尺骨の橈骨切痕での軸施を制御します。
肘の運動について
肘の屈曲、伸展
肘の屈曲(曲げる)自動運動域は0~145°になります。小児や女子では伸展時(伸ばす)に約10°の過伸展をみることがあります。伸展の制限因子は肘頭と肘頭窩の骨性制限、側副靭帯の緊張や屈筋軍の抵抗があります。
肘関節の回内、回外
肘関節90°屈曲位で回内、回外はそれぞれ90°になります。肘関節伸展位での回内、回外には肩関節の動きが加わり、上肢全体としては約360°の可動性があります。回旋運動では橈骨上端は輪状靭帯内を回り、橈骨下端は尺骨頭の周囲を回ります。橈骨の長軸は常に上腕骨小頭の中央を通過します。回内、回外運動では尺骨は回旋しません。
肘角
肘関節を伸展し、前腕を回外すると前腕は上腕に対して橈側に偏位します。
上腕軸に対して前腕軸のなす角度を肘角(肘外偏角)といい、生理的外反肘となります。
物を手にさげて運ぶときの形から運搬角といい、成人男子では約10°、小児や女子では15°以上のこともあり、20°以上の肘角が認められたときは病的外反肘とされます。

肘の疾患
スポーツ障害
野球肘
野球の投球による肘部の障害、とくに上腕内側上顆を野球肘として総称しているが、ゴルフやテニス(フォアハンド)などのスポーツでも発生する肘部の疼痛性運動障害であります。
成長期(少年期)の過剰な投球動作などにより発生する野球肘はリトルリーガー肘ともよばれます。

分類
内側型(内側上顆、前腕回内屈筋群、内側側副靭帯、尺骨神経)
外側型(上腕骨小頭、橈骨頭)
後方型(肘頭)

内側型
大部分で繰り返しのボールを投げることによって肘の負荷が過剰になること原因で肘にかかる強い外反力に対し、前腕回内屈筋群が強く収縮し、内側側副靭帯に強い引っ張りのストレスが肘部内側にかかり発生します。
外側型
内側型より少なく、投球動作時の繰り返しにより肘関節に強い外反力が加わり、上腕骨小頭と橈骨頭の間に過度の圧迫力が加わり発生します。
後方型
投球動作時の繰り返しにより肘関節に過伸展することで、肘頭と上腕骨肘頭窩の間に繰り返しの衝突することで発生します。
症状
内側型
肘の内側部の疼痛、腫脹、圧痛(押さえると痛みを伴う)が、肘の動きが制限(伸展障害)される場合があり、小指側にしびれを感じることがあります。
内側上顆炎、内側上顆裂離骨折、前腕回内屈筋群、内側側副靭帯損傷も考えられ、将来的に肘関節の不安定症や遅発性尺骨神経麻痺(肘部管症候群)も発生します。
日常生活で物を持ち上げたり力を入れる動作で疼痛の増強を訴えるのが特徴です。
外側型
強い圧迫力が加えられたことで、上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎を発生し、初期では投球時に外側部の疼痛はなく、関節遊離体(関節鼠)を生じ、突然関節内にロックすることがあります。将来的には変形性関節症にいたることもあります。
後方型
肘頭と上腕骨肘頭窩の間での衝突がおき、成長期で肘頭部骨端軟骨成長障害(肘頭部骨端線離開)、成人では肘頭の疲労骨折や上腕三頭筋の炎症などが発生します。
予防と治療法
投球動作の中止が重要で、肘の安静が大切です。痛みを我慢して投球を続けていると障害が悪化して、手術が必要になることもあります。
保存療法で行うこともできるが発育期におけるものは将来性を考えて治療が長期化することもあります。
保存療法最低でも3カ月間行い、肘の運動やストレッチをしながらスポーツ活動への復帰を目指していきます。
野球肘の障害に対する対策は、早期発見と過剰投球にならないように練習量や投球動作の見直しなどの管理が必要になります。小学生では1日50球程度、週200球、中学生では1日70球程度、週350球、高校生では100球以内、週500球を超えないことが提案されています。
テニス肘
テニスのバックハンドストロークで発生する上腕骨外側上顆炎による外側型の疼痛性運動障害テニス肘と総称し、テニスのストロークで発生するスポーツ障害としてフォアーハンドストロークにより上腕骨内側上顆炎を発生する内側型の障害もあります。
病因は使いすぎであり、ラケット操作技術の低い初級者やラケットを支える筋力の弱い40~50歳の女性に好発します。
ゴルフやバトミントンなどの他のスポーツ障害として、また手を使う作業をする者には多発します。
上腕骨外側上顆炎(バックハンドテニス肘)
発生頻度が高く、バックハンドストロークで正確にボールが捉えることができないときに受ける衝撃に、手関節の伸筋、とくに短橈側手根伸筋で対抗しようとして筋肉の起始部で変性を起こします。または前腕浅層伸筋付着部である外側上顆部の微小断裂、骨膜の炎症を発生します。
症状
手関節の背屈時にラケットのグリップ時の肘から前腕にかけての疼痛や局所の圧痛があり、熱感を有する場合もあります。日常生活では、回内位で物を持ち上げたり、タオルも絞る動作などの伸筋群が緊張する動作時に痛みを訴えます。
テスト法
手関節伸展テスト(Thomsenテスト)
手関節を曲げるようにして、患者さんには肘を伸ばして、力に抵抗して手関節を伸ばしてもらう。
椅子テスト(Chairテスト)
患者さんに肘を伸ばしたまま椅子を持ち上げます。

中指伸展テスト(middle finger extension テスト)
中指を上から押さえるのに抵抗して、患者さんに肘を伸ばしたまま中指を伸ばします。
治療法
基本的には保存療法で継続していき、数カ月で症状の改善がみられます。
手の使用を最小限として、局所の安静の為に固定し、テニス肘ハンド(サポーター)を使用することも有効です。疼痛が軽減すれば、ストレッチ、筋力強化訓練を行い、再発防止に努めていきます。
肘内障
2~4歳の幼少児特有の障害で、非常に発生頻度が高いもののひとつであります。
多くの場合、親が手を引っ張った際に発生し、繰り返し発生するものもあります。

発生機序
強い引っ張り力に前腕回内力が加わり、輪状靭帯の下を橈骨頭がくぐり抜ける(近位橈尺関節の亜脱臼)によって発生しますが、外力なしに前腕回内位で腕を体幹の下にして転がり、自重で引っ張られ発生することもあります。
症状
受傷時の状況と、肘をやや曲げた状態で下げたままにして、痛がって動かそうとしないです。
局所の腫脹と発赤は認めません。
治療法
徒手整復で行い、整復後はいつもと同じように腕を使うようになります。
注意としては手を引っ張られることによって繰り返すこともあります。
今回は肘の構造と疾患について書きました。
あいあい整骨院では怪我や不調に対しても対応いたします。
お困りの際にはお気軽にご相談ください。